【薔薇物語】~Aries edition~

この世界には、薔薇という美しいお花が存在するのね。

でも、わたしは・・

お花というものが世界のあちこちに存在していることや、

お花が綺麗で、良い香りがして、数え切れないほどの種類があるということも、つい最近、何となく分かって来たばかりなの。

だから、薔薇というお花を、

わたしはまだ見たことがないし、触れたことも、香りを嗅いだこともないの・・。

でもね、わたしの1番傍に居てくれている人も、

「ママね、お花が好きなのだけど、薔薇がとても好きなの。パパはね、昔から、ママのお誕生日や特別な時に、薔薇の花束をプレゼントしてくれるのよ。」と、笑顔でお話していたの。

だから、薔薇は、特別な時、特別な人へ贈ると喜ばれる・・何か特別なものなのかな。

その特別が何なのか・・わたしには、それもよく分からないけれど・・。

この世界は、わたしには分からない色々があるのかな。

わたしの1番傍に居てくれている人は・・ママ？そして、あの人は・・パパ？

わたしは・・わたし。だけれど、わたしのことも全部わからないの。。

だけどきっと、分からないのに、考えていても・・分からないまま。。

だから、考えるよりも動きたいし、教えてもらえるのを待っていられないの。

わたしはね、早く薔薇を見てみたい。薔薇に触れて、薔薇の香りを嗅いでみたい。

ママやパパからプレゼントしてもらえる日まで、じっと待っているのは、何だか“わたしらしくない・・”そんな気がするの。

わたしがそう思ったなら、それがわたし。うん。きっとそう。

いつかわたしも、特別な時、特別な人へ、薔薇を贈る日が来るのかな。

でも・・わたしが最初に薔薇を贈るのは、きっとわたし。

最初という特別を、薔薇に込めて、わたしに薔薇を贈るの。

たったひとりの、特別なわたしに。

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美しい薔薇には棘がある。

でも、それに気付くのは・・もっとずっと先のこと。

「薔薇は美しい。」

今はそっと、素直に、その美しさを疑わず、美しいと思うの。

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